ほたるの初恋、消えた記憶

宮東祐吾が住む高台のお屋敷

部活が終わる頃には外はすっかり暗くなり、着替えて校門を出ると健斗と美幸が待っていた。


朝見たベンツも校門前に止まってるんですけど。


宮東祐吾を迎えに来たのだろうか。


「美幸帰ろう。今日のお菓子はなに。」


美幸からもらったクッキーを口にいれた。


うまい。


もぐもぐしてると、リスかと二人に笑われたけど、お腹がすいてるから仕方ないのだ。


美幸の自転車に跨がろうとすると、宮東祐吾が目の前に現れた。


「送ってやるよ。」


いえ、いえ、結構です。


ベンツなんかに乗りたくない。


首を思いきり左右に振ると、無理矢理腕を捕まれた。


ちょっと、止めてよ。


のらないてば。


「離して!」


美幸に助けを求めても、諦めなさいと言ってるし。


健斗助けて。


健斗が宮東祐吾を睨んだ。


「悪いけど、これからは俺の好きなようにさせてもらうからな。」


え、どう言うこと。


健斗は何も言わずに、私たちに背を向けて歩き出した。


ちょっと、健斗どうしちゃったの。


美幸がごめんね、と小さな声で呟いた。


そして二人は私を置いて帰って行く。


そのまま宮東祐吾に拉致された。











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