ほたるの初恋、消えた記憶
車の中は無言のままでかなり気まずい。


ねぇ、宮東祐吾さん、私を無視するとか言わなかったけ。


家の場所を教えてないのに、ベンツが民宿の前に止まった。


あれ、どうして家を知ってるのかな?


民宿の入口と反対を側に、家に入る玄関があるんだけど、宮東祐吾は私を下ろすと、自分もベンツから下りて来た。


玄関の前には双子の弟たちがいて、私にかけよって来る。


「お姉ちゃんお帰り。夕飯まだだから。予約のお客さんが増えて、じいちゃんもばあちゃんも手伝いにいってる。」


手伝いにいこうと思ってると、弟二人に止められた。


「お腹すいたから、晩ごはん作ってよ。」


そうだよね。


冷蔵庫に何かあったかな。


その時、宮東祐吾が勝手に家の中に入っていく。


ちょっと待ちなさいよ。


「勝手に家にはいらないで。」


「ほたるより、うまい飯作る自信あるから。」


会話になってない。


「宮東祐吾、待ちなさい。」


弟たちが宮東祐吾の後を追って家に入ってしまった。


もう、なんなの。


大きなため息をついた。


大地、雄大、姉ちゃんの事を聞かない子はお仕置きだからね。


あれ、これじゃ、菊地と同じだ。


宮東祐吾はずでにうちの台所にいた。


かって知ったる何とかなのか。


勝手にチャーハン作ってるし、いい臭いだし、お腹がなった。


「姉ちゃん、上手そうだね。」


宮東祐吾に文句を言おうとしたが、チャーハンだけでなくスープとサラダまで作っていた。


おまけにこれ又うまいときてる。


私は親父かよ。


「姉ちゃんが作るチャーハンよりかなりうまいよ。兄ちゃんありがとうな。」


あ、ベンツの運転手さんを車に待たせたままだ。


「ちょっと、運転手大丈夫なの。」


「彼には先に帰ってもらったから。」


え、宮東祐吾はどうやって帰るつもりなのよ。


夕飯を食べ終えて食器を片付けてると、父さんが先に帰って来た。


父さんは宮東祐吾を見ると、懐かしそうに話かけてる。


父さんは宮東祐吾を知ってるの。


もしかしたら、知らないのは私だけなのかな。


美幸も健斗も宮東祐吾を知っていたのかもしれない。


どうして、こんなに不安になるのだろう。























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