ほたるの初恋、消えた記憶
母さんは高校生の時父さんと恋をして、16才で私を生んだ。


その時父さんはまだ18才で、親の反対を押しきって高校を中退し、母さんと結婚した。


母さんは33才父さんは35才。


この町ではかなり有名な二人。


ばあちゃんもじいちゃんも20才で結婚したらしいし、回りの人たちと比べるとかなり若かった。


早婚。


でも、こればかりは私には無理だから。


まだ初恋も知らない私はいつ恋が出来るのだろうか。


「ほたる、前に出てこの問題を解け。」


菊地の意地悪。


解ける分けないじゃんか。


え、何?


宮東祐吾が私にノートを見せた。


綺麗な字だな。


私の顔を見て、ノートを押しつける。


ちょっといいってば。


「 ほたる、早くしろ。でないとお仕置きが増えるぞ。」


慌てて宮東祐吾からノートを奪い、ノートに書いてある通りに解いた。


菊地に自分でやれと頭を叩かれるし、宮東祐吾が何を考えてるのか、理解出来ない。


一応お礼を言ってノートを返した。


「ありがとう。」


宮東祐吾が笑ったんだけど、その笑顔はどういう意味。


宮東祐吾はイケメンだけど、かなり苦手なタイプ。


朝、自転車の横を通ったベンツに乗ってたのが宮東祐吾だと分かってしまったからかな。

父さんがあの高台のお屋敷に住んでいた一家が、戻って来たと言ったのを思い出した。

ふーん。


そうなんだと軽い気持ちで、父さんの話を聞いていたのだ。








































< 5 / 187 >

この作品をシェア

pagetop