ほたるの初恋、消えた記憶

部活は剣道部です

高台のお屋敷に宮東祐吾が住んでいるのか、気になるし、父さんが戻って来たと言ったのはどういう意味なのか。


数年前まで宮東祐吾はこの町にいたって事?


分からない。


「ほたる、今日は部活に出ろよ。」


菊地は剣道部の顧問だ。


平日は民宿を手伝わなくていいから、部活には出てるけど、出たくないのが本音。


「あ、そう言えば、宮東も剣道やるんだな。」


「はい、一応二段です。」


はい、はい、顔も良くてお金持ちで、剣道二段ですか。


嫌みのように何でも出来る訳ですね。


ますます嫌いになった。


「宮東も剣道部に入るだろ。」


「そのつもりでいます。」


「いえ、入らなくていいです。」


思わず声に出ていた。


「別にほたるに許可とる必要はないだろ。」


そうだけど。


私は一応副部長だし。


「健斗は賛成だろ。」


健斗反対してよ。


健斗は構わないと言った。


私の人生終わったわ。


宮東祐吾と同じ部活だなんて、考えただけで目眩がした。


絶対何かが起きる。


やだな。


私が剣道部を止めようかな。


「ほたる、何でそんな顔をするんだ。」


ごめんね、健斗。


健斗はいつも私を守ってくれた。


あの時も。


私が交通事故で記憶をなくした時、健斗はずっと私の側にいてくれた。


10年も一緒にいるから、健斗の事は何でも分かる。


健斗は美幸が好きだとばかり思ってたのに。


健斗が私を好きだなんて、怖くて確かめられない。


今のままの関係が心地良いから。
























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