幼なじみはアイドルの先輩
3月31日。


卒業当日も特に意識もすることもなく最後の劇場公演へ。


ただし、身体が意外とあちこちズキズキする。


もちろんファンのみなさんの夢を奪うことなんてしない。


自称モチモチのみずみずしいお肌を最後まで魅せましたよ。


アンコールは、2人だけでバラードを歌った。


劇場はファンのみなさんの反応が隅々までわかる。


ほとんどの人がうつむいてる。


涙を流してる人。


涙をこらえてる人。


見ちゃうと歌えなくなるから、ほとんど視線は天井付近だった。


そして、最後の挨拶。


私らの前に瑠花が涙の決意表明。


アマゾナイトも4月1日になれば別の世界へ羽ばたいていく。


みんながこうして揃うのもこの先ないかもしれない。


瑠花の後にゆかりの卒業挨拶。


約束してたんだけど、さすがに途中でゆかりの涙腺が崩壊した。


つられて私も涙腺崩壊かと覚悟したけど、ここ1番で身体の痛みがピークを迎えました。


これは、ゆかりの見えない力が私を泣かせてくれなかったのかなあ。


「みなさん、本日もアマゾナイト劇場公演に足をお運びいただきありがとうございました。私と総帥は今日を持って卒業します。けど、明日も劇場公演は予定通り開催いたします。私は明日も劇場のどこかにいますので見かけたら声でもかけてください」


現役とチーフの狭間で揺れ動いた末の挨拶。


らしく終われて本望だね。


公演終了後、ゆかりは次の仕事のために慌ただしく着替えを始めた。


「卒業後初仕事になる?」


「そうみたいね」


私は劇場スタッフさんたちとこれからご飯を食べに行く。


漫画やドラマのように2人っきりで卒業の夜は過ごせないね。


「ねえ」


「なに?」


2人がいるのは旧事務所。


メンバーはここをほとんど利用しないいので、幼なじみとしての振る舞いが出来る数少ない場所。


結講お世話になったけど、節目の日にも使わせていただきます。


「現役じゃ無理だったけど、もう一度2人でてっぺん目指そうよ」


「…………いいけど、どうやって?」


「それは…………、やばい!!神田さんが呼んでる。近いうちにあたしの決意を披露するから待ってて。じゃあね」


荷物無造作に詰め込んで行っちゃった。


ゆかりからも求められてしまったか。


求められたら断るのナンセンスですよね。


私とゆかりの第2幕の幕が上がるのもそう遠くない未来になりそうだね。








< 2,018 / 2,020 >

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