幼なじみはアイドルの先輩
春から愛結のテレビや雑誌の露出や取材を抑える方向だから無理な負担はさせない。


このコンサートさえ終われば、一区切りついてメンバーにもわからないように治療にも専念させることも出来る。


「絶対無理するなよ。頼りになるかはわからんが水原もいるわけだし」


「先生が思ってる以上に劇場では杏さんに頼りがちなんで、足を引っ張らないように頑張ります」


マスクをつけて帰り支度を始めた。


「これから仕事か?」


「自宅に百合呼んでまったり過ごします」


「そうか。でも、よかったな。函館同士気が合うだろ」


「百合がメンバーに入ってホントよかったです。一緒に旅行する計画を今2人で立ててるんですけど、楽しいです」


「おねえちゃ〜ん!」


帰ろうとする愛結を奈未が呼び止めた。


「奈未とまた遊んでね。お絵かきも一緒にしてね」


愛結は中にまた戻り、しゃがみこんで奈未の頭を撫でた。


「指切りげんまんしよっか」


2人の約束を果たせる日を何とか実現させたい。


困難に直面しても諦めず、弱音を吐かない愛結の芯の強さに賭けてみようと心に決め愛結を見送った。

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