幼なじみはアイドルの先輩
「ホントですか?」


光宏がメロメロのマドンナは、人差し指を唇に当ててシロップがついてるか確認。


「あれれ、ついてますねえ」


苦笑いを浮かべながらも、人差し指を舌でペロペロ舐め回した。


「おいしかったです。また寄らせていただきます。先生、また帰ったらよろしくお願いしまーす」


お目当てのマドンナを見送った後のマスターはデレデレだった。


「みっち、なんだその目は」


「俺、都会に店構えようかなあ」


「理由が短絡的過ぎるからやめとけ。それにまた来るって言ってたじゃないか」


「そうだけどさ……ああ、今度は俺の手でシロップを」


「ほら、お客さんが来そうだぞ。そんな間抜け面はもうやめろ」


外には中を伺ってる若いカップルが。


「よろしく伝えといてくれ」


「わかった。じゃあな」


外へ出ると若いカップルが少しビックリした様子で店内をもう1度見渡した。


「ごめんね。準備中ってなってるけど営業してるよ。誰もいないし入りなよ」


「そうなんですか!ありがとうございます」


2人ともホッとしたような笑みを見せて中へ入っていった。


俺の手には小山内からもらった桂木エージェンシー40周年パーティーのチラシが。


娘のためとはいえ、あまり人前に出してくれないでくれよ。


チラシに体よく収まってる桂木の写真にビンタし、駅裏へと歩いていった。


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