幼なじみはアイドルの先輩
みんな裏口から入り、真っ暗な劇場へ。


事務所も真っ暗。


安西代行も帰った後だった。


ステージには私と麗奈に加えて非正規リーダーめいっちさんと副リーダー藍が。


その他のメンバーは観客席の最前列に座った。


静まり返る劇場内。


普段は私らが歌って踊ってトークしてファンが熱狂する舞台に沈黙の時間だけがただ流れていく。


私が何か言えば簡単だけど、ここは何でもいいからみんなから何か言ってもらわないと。


「何かありますか?」


沈黙を破ったのは藍だった。


藍の言葉を待ってたかのようにトップ3が手を挙げる。


お互い譲り合ってる姿がなんか和んじゃうなあ。


「じゃあ、まどか」


めいっちさんのご指名にまどかは立ち上がって、私と目を合わせる。


「明日からレッスン頑張ります。チーフも付き合ってください」


思いもよらぬ前向き発言に用意してたセリフが吹き飛んでしまいました。


「あたしも同じです」


「一緒です」


いや〜、前向きな言葉を用意してないから困った。


困ったついでに目にゴミが入ったのか、目がかゆいなあ。


「……とことんお付き合いするよ。芽生さん、締めてください」


「わかりました。みんな、時間はまだあるから、とにかくやろうね」


みんな一旦スイッチ入ると熱くなるんだから。


でも、みんな最初からわかっててよかった。


このチャンスを掴むためなら私は身体にムチ打ってお手伝いさせていただくよ。


湿布沢山用意しとくわ。


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