彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
英語の授業前の休み時間、ちょっと困っていた。
「英英辞典を貸してほしいんだけど・・・」
「今日、忘れたからないの。他の人に頼んだら?」
「そっか。ごめんね、ありがとう。」
相手の言葉に、ため息を飲み込む。
「そうだよね~英英辞典、あんまり使わないから、みんな持ってないよねー?」
なくなった自分の辞書探しを後回しにして、授業で使うべきアイテムを借りるたびに出ていた。
自分のクラスの友達からは、もちろん借りられない。
だから、他のクラスの人に頼んでいた。
部活動も入っていないので、交友関係は薄かったが、同じ委員会の人を頼ってお願いしていたけど・・・・
「え?英語の辞典を?忘れた。」
「悪いけど・・・貸せないよ。貸し借りとか、よくないから。」
「持ってないよ。」
「忙しいから、帰ってくれる?」
「そ、そうですか・・・」
みんな、持っていないと言う。
「どうしよう・・・このままじゃ、先生に怒られちゃう・・・」
貸してもらえそうな候補が減っていく。
自分の教室の1年A組からスタートし、現在はF組まで来ていた。
私の学校は、1学年8クラス制で、A~H組まである。
第一校舎にA~D組が、第二校舎のE~H組と、わかれている。
現在地点はF組の前。
気づけば、離れた校舎まできていた。
ここまできたら、借りたいけど。
(このままだと、遅刻になっちゃうかな?)
諦めて帰ろうとした時だった。
「あ、菅原さん!」
「吉田さん?」
声をかけてきたのは、G組の子。
同じ委員会の子だった。