彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)



英語の授業前の休み時間、ちょっと困っていた。



「英英辞典を貸してほしいんだけど・・・」

「今日、忘れたからないの。他の人に頼んだら?」

「そっか。ごめんね、ありがとう。」



相手の言葉に、ため息を飲み込む。



「そうだよね~英英辞典、あんまり使わないから、みんな持ってないよねー?」



なくなった自分の辞書探しを後回しにして、授業で使うべきアイテムを借りるたびに出ていた。

自分のクラスの友達からは、もちろん借りられない。

だから、他のクラスの人に頼んでいた。

部活動も入っていないので、交友関係は薄かったが、同じ委員会の人を頼ってお願いしていたけど・・・・



「え?英語の辞典を?忘れた。」

「悪いけど・・・貸せないよ。貸し借りとか、よくないから。」

「持ってないよ。」

「忙しいから、帰ってくれる?」



「そ、そうですか・・・」



みんな、持っていないと言う。




「どうしよう・・・このままじゃ、先生に怒られちゃう・・・」




貸してもらえそうな候補が減っていく。

自分の教室の1年A組からスタートし、現在はF組まで来ていた。

私の学校は、1学年8クラス制で、A~H組まである。

第一校舎にA~D組が、第二校舎のE~H組と、わかれている。

現在地点はF組の前。

気づけば、離れた校舎まできていた。

ここまできたら、借りたいけど。




(このままだと、遅刻になっちゃうかな?)




諦めて帰ろうとした時だった。





「あ、菅原さん!」

「吉田さん?」





声をかけてきたのは、G組の子。

同じ委員会の子だった。

< 100 / 502 >

この作品をシェア

pagetop