彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)




「凛ちゃん、イチゴ買ってきて、イチゴ!練乳かけても、モニカちゃんのお口に運んで~!」

「わ・・・・わかりました。」

「きゃは!やったぁ~!」

「はあ!?いいのかよ、凛!?」

「うん?モニカちゃんにはお世話になってるし。」

「へぇ~!?お前お世話になった相手なら、誰にでもできんのかぁ・・・!?」

「ちょ、顔が怖いよ、カンナさん!?」

「はいはい。話は後にしろ、お子ちゃまたち~他にいるもないか、オメーら?」



ニラむカンナさんを私から引きはがしながら、烈司さんが聞く。

それに答える声が、すぐに上がった。



「わははははは!あるぞー!日本酒買って来い!芋焼酎も忘れんな!!」

「未成年が酒を買えるわけないだろう、馬鹿者め。凛道、クリアファイルを買って来い。ついでに、クイックルワイパーもだ。」

「百鬼さんはともかく、獅子島さんは、わかりました。」

「コラ、俺様は無視か!?凛助!」

「ははは!皇助の酒は俺が買ってきてやるよ!じゃーな。」



そう言うと、私の肩を抱いてさっさと部屋から出る烈司さん。

ドアを閉め、廊下を数歩進んだところで聞いた。



「あの・・・どこまで買い物に行くんですか?」

「近所だよ、近所。単車飛ばせばすぐだ。」

「そうですか。じゃあ、烈司さんのバイクについて行きますね。」

「ついて行くって、凛たん。俺、凛たんを後ろに乗せるつもりなんだけど?」

「え?後ろですか?」

「そうそう。」

「でも、買い物したら荷物が多くなるから、2台に分けた方が~・・・」

「いや、瑞希にも持たせるからいいって。」


「へ!?瑞希お兄ちゃん?」



突然出てきた瑞希お兄ちゃんの名前。

どういう意味かと聞く前に、彼は言った。




「凛たん、瑞希の職場に行ったことないだろう?連れてってやろうと思ってなぁ~」

「えっ!?」

「その後に買い物をしようと思ったんだが~どうしようか、4代目?」




ニヒルな笑みで、聞いてくる相手。





「・・・・もしかして、僕を連れ出してくれるために・・・・?」



(あんなお芝居を?)




「いや、煙草がないのはマジだ?ニコチンキレると、俺アブナイから♪」





そう言って、茶目っ気たっぷりに空になった煙草の箱を見せてくれる烈司さん。



「で・・・どうする?行くか、行かないか?」



私の耳元に顔を近づけると、小さな小さな声で問いかける男前。

まるで、内緒話をしてるようで・・・

だから私も、みんなに聞こえないような小声で答えた。




「行きます♪行ってみたいです・・・・!」

「はいはい、了解♪じゃあ、烈司さんとデートな?」

「はいっ♪」



さすが、瑞希お兄ちゃんが頼るお方♪




(これで瑞希お兄ちゃんに会えます!ありがとうございます!)




優しい声と顔で頭をなでてくる烈司さんに、心の中でも感謝した。




~カオス上等!ヤンキー1年生の日々~完~

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