お前、可愛すぎて困るんだよ!
わりと広めの階段の真ん中あたり。



妃莉は、碧くんの腕をゆさゆさ揺すった。



「碧くん。
前は、妃莉のこと……。
お嫁さんにしてくれるって言ったじゃんっ!」



涼しい瞳で妃莉を見下ろす碧くんの顔を見あげながら、ぷんすか怒る。



「それなのに……。
『ばかばかしい』って、あれは、なにぃ――っ!?」



「……あぁ、アレ」



碧くんは、どうでもいいっていう顔をして、少しだけあごをさすった。



そのしぐさに、カチンときた。



「『……あぁ、アレ』じゃなくて!
碧くんは、妃莉と結婚したくないの!?
妃莉は、碧くんと結婚したいっ!」
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