お前、可愛すぎて困るんだよ!
碧くんの腕をぶんぶん振って怒る。



それなのに……。



「妃莉は、なんにもわかってないな」



ため息とともに、碧くんはそう言った。



「……え?」



「だーかーら。
子供すぎって言ってんの」



――ぽふっ……。


妃莉の頭に手を乗せて、サラッと髪をなでてから、碧くんはなにごともなかったかのように微笑んだ。



「急げよ、妃莉。
入学式、間に合いたいだろ?」
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