先生、課外授業のお時間です!
気づいたら真っ白な天井が目の前にあった。おそらく保健室だろう。私が倒れたから校長先生は長いスピーチをやめたかな?なんて考えていると、カーテンの外から声が聞こえた。
「起きたか?入るぞ。」
カーテンの間から優しい光が差し込んできた。光の方向を見ると、翔先生がいた。
「体調どうだ?まったく。校長先生の話長いよな!体育館暑かったし……。無理せずに外に出て良かったんだぞ?俺だったらサボってる。七海は真面目だなぁ。」
先生のくせにサボるとか言ってる。しかも校長先生の愚痴まで。先生らしくない先生がうちの学校にやって来たもんだ。
「もう大丈夫です。えっと、翔先生?でしたよね。ご迷惑をおかけしました。」
「おぉ、すげー敬語。この学校に来て初めて敬語使われたわ。みんなフレンドリーでさ、先生とも呼ばないしタメ語なの。」
立場上、先生と生徒だから敬語を使ったけど、いらない心遣いだったようだ。
「えーっと……言いづらいんだけど……ね。その……見えてるよ?」
先生の顔が赤くなっていった。ん?見えてる?
「うわっ!ちょっと見るな!変態!」
「僕だって見たくて見たわけでは!」
「普通は生徒に向かって……あれ?言う?言わない?あれ?」
分からなくなった。どんどんこの先生のペースになっていっている気がした。
「と、とにかく!タダで女子高生のパンツ見れたんだから!感謝しなさいよね!普通なら三千円は取るよ!いや、先生はイケメンだから二千円かな。」
「ちょっとまて。今なんて言った?」
先生の表情が変わった。険しい顔。きっとこの後怒るか怒鳴るか……まぁ、どっちにしろ面倒なことになる顔だった。
「んー?先生なら五千円くれればヤってもいいかなって。」
「お前……裏でそうゆうことしてるのか?」
「まーね。ま、こんな穢れた体で金稼げるならそれに越したことはないよね。」
「いつからだ?いつからそんなことしてる?」
あーあ。すっかり先生の顔。せっかくのイケメンが台無し。生徒の悪い行いを注意して自己満足するよくいるパターンの先生の顔になっちゃった。ま、秘密を言った私も悪いんだけど♪
「一年前くらいかな〜。ちょっと色々あってさ、夜の街に羽ばたいたってわけ。説教なら聞かないよ。私にはこの生き方しかないんだから。」
「だったら放課後、毎日科学室に来い。」
……は?今なんて言った?科学室?この先生頭おかしいの?生徒の悪いところ注意しないで科学室に来いとか。あぁ、そうか。そう言っといて後で他の先生に言って自分の手柄にするのか。なるほど。よくそんな計画考えついたもんだね〜拍手拍手。
「なんで科学室に行かなきゃいけないわけ?」
「それは来てからのお楽しみ。僕は科学の教師だ。科学室は僕の部屋ってわけ。放課後、課外授業をする。」
「行かなかったら?」
「そうだな……。来なかったら先生方と保護者に君のやっていることをバラす。毎日きちんと放課後、誰にも見つからずに科学室に来たら誰にも言わない。」
「生徒のこと脅すの?」
「いや、これは賭けだ。僕は君が来ると賭けた。」
なかなか面白い教師が来たもんだ。こんな面白い話、乗らないわけにはいかない。
「その話乗った。約束は守ってよ?翔先生♡」
私と先生とのおかしな日常が始まった。
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