愛、罠、キス。
「…邪魔。」
ボソッと呟いたかと思えば。
断りもなくあたしがかけていた赤いダテ眼鏡を外した。
そして更には髪を纏めていたシュシュまでもを外し、それを自分の左手に通すと真っ直ぐにあたしを見つめてきた。
「ん。やっぱこっちがいいな…」
自由を与えられた茶色い髪が窓から流れ込む風で静かに揺れる。
――トクン、トクン。
低いのに妙に色っぽい声と、その整った綺麗な顔。
たったそれだけでも、あたしの心は高鳴る。