奇聞録二巡目



ツタが絡まるあの廃屋は何年も前に人がいなくなった。


噂では殺人事件があったとか、自殺者が居たとか。



私は知っている。

近所に住んでいるからではない。



おそらくまだあの廃屋に居るだろう。


朽ちた肉体は床下に埋まっている。


家族三人だ。


捜索されず、訳ありなのだろう。



恨めしいのか、三人家族は私の後を着いてくる。

そして私を見つめる。



私は気付かない振りを続けている。

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