いきなりプロポーズ!?
「今夜は無理そうだな。オーロラ予報はいいらしいけど、雲に阻まれたらな」
「そうね」
達哉が離れたあとも私の胸は高鳴ったまま。彼の背中を見つめていると、会ったこともない舞さんの姿が隣に浮かぶ。となりで達哉を見上げ、まるで包み込むように優しくほほ笑むスレンダーな女性。私はぶんぶんと頭を横に振った。幻想は消えた。でもお似合いな二人に私の胸は今度は痛くなった。
「その箱、なんていうか知ってるか?」
「ケーキボックス?」
「ドギーバッグ。アメリカでは残したものを持ち帰る習慣が根付いてるんだけど、初めは残りものを持ち帰るのは抵抗があって、買っている犬にあげるのに持ち帰るっていう名目で使われてた」
「え、なに、私は犬?」
「ギャンギャン吠えて噛みつくじゃん?」
「ひどい、もう」
達哉はと突然振りかえった。
「おりこうさんにしてる犬より可愛いと思うけど? 手がかかるからこそ、って言わないか?」
「手のかかる男より、イケメンで品行方正な人間のほうがいい」
「ま、お前じゃ無理だろうな、そんな男を捕まえるのも」
「ふん!」