いきなりプロポーズ!?
「あ、あいむ、おーるらいと」
私が片言の英語で返事をすると彼はにこっと笑った。そして屈んで散れた破片を拾っている。私もしゃがんでそれらを拾い集めた。二人で拾い終えて隅のゴミ箱の脇にまとめた。
「あの、ありがとう。センキュー」
「You’re welcome. Do you mind if I join you?」
「え、あの」
彼は私の右手を取ると中央のテーブルに引いた。Tea, or, coffee? とかなんとかしゃべっている。私は紅茶のキャニスターを指さした。青い目のブロンドはにっこりとほほ笑んでキャニスターのふたを開け、ティーバッグを取り出すとマグカップに、one, two! と楽しげに放り込んだ。私の分の紅茶をいれてくれるらしい。そしてワンツーついでに鼻歌を歌いだした。坂本仇の「上を向いて歩こう」だ。ちょっと楽しくなってきた。
紅茶をいれると彼はふたつのマグカップを持ち、ベンチに腰掛けた。そしてその青い瞳で隣に座れと私に訴える。極上のスマイルで。私は素直にうなずいて彼の隣に腰掛けた。マグを受け取る。
「Where are you from?」
「あいむ ふろむ じゃぱーん」
「where in Japan?」
「えっと……」
そのあとも彼は英語で話しかけてきた。なんてしゃべってるのか分からなくて適当に相槌を打つ。それと比例して彼との間にあった隙間も徐々に詰められていった。なんかやばい気がする。ああ、どうしよう。きっと勘違いしている。彼はどんどん私に近づき、太もも同士がくっついた。彼の手が私の髪を撫でる。