モデル姉さんのファンは弟くん
玲蘭の気持ちにゆっくり合わせて行きたいのに…。
何回もそう言い聞かせても、また結局強引にでも俺のことを意識させたくて仕方なくなる。
「うう、ほんとごめん…。」
「え?」
「また変なこと言っちゃった?」
「…ううん。俺こそ気を使わせてごめん。」
「だから謝るのはわたしだよ…いつも帝くんに甘えさせてばっかり…そうだ!!なにか欲しいもの言って!」
ほんと…全部すること可愛んだけど。
「ん〜……いま1番欲しいのは玲蘭。」
「っえぇ!?」
「ふはっ。予想以上の反応。」
「わ、わたし?ええ!?なにすればいいの!?」
「冗談だから。予定があう日にまたデートしてくれれば十分。」
「そうなの?でもそれくらい…。」
♪〜〜
「あ、ごめんね。わたしの電話…あら、圭だ。帝くんごめんね、出て平気?」
「ん。」
「もしもっ…。《ちょっと!お姉ちゃん!?今どこにいんの!!!》
あいつから連絡はそのうち来るだろうと思った。
それにしてもうるせぇな…。スピーカーにしてなくても、あいつの声がここまで聞こえる。
「よ、洋服を見にいこっかなぁ〜って…ほら…『1人で』おでかけすることもなかったし、たまにはって思って。」
1人と言うところを強調させ、子どもみたいな笑顔を俺に見せる。
それ、可愛すぎるって…。
《もうっ!なんで黙って行っちゃうの!?今度僕と行けばよかったじゃん!家にいないからめちゃくちゃ心配したんだからね!今どこにいるの?》
「え、あっ…もうすぐ帰るところだから!圭は待ってて大丈夫!」
《何言ってるの?全然大丈夫じゃない!迎えに行くから!早くどこにいるのか言って!!》
もしやこの流れ…もう帰るとか言う?
あいつ…本当厄介者すぎない?
もっと玲蘭といれたのに。
ーーー…。
「帝くんごめんね?せっかく一緒におでかけしてたのに…。」
「謝んなくていいって。こうなるかもなとは若干思ってたから。」
玲蘭がずっと申し訳なさそうにしている。
「…帝くん。やっぱりなにか欲しいものとかないかな?なにかお返ししたい!」
「え?そんなのいいよ。」
「あ、喉とか乾いてない?なにか飲み物とか…あっ!暑いからアイスのほうがいい?」
「「…………。」」
身長差から、俺を見上げる玲蘭。
あー。めっちゃキスしたい。
「それなら、やっぱ玲蘭がほしい。」
「ええっ、またそれ!?」
「本気なんだけど?玲蘭がしてくれることならなんでも嬉しい。」
「でも…なにすれば?」
「んー。手は繋いだから、その次?」
「つぎって…?」
キスをねだったけど、ふと今隣にいるのは大人気モデルなのになにを言ってるんだ…と一瞬理性が戻った。
「…いや、冗談。ほら、いこう。」
「待って待って!わ、わかりました!その次やらせてくださいっ!」
「は?マジで?」
勘違いしてないよね?マジで……してくれんの?
「でも恥ずかしいので…どこか人目のつかないとこじゃないと…。」
え?うそ…マジで?本当に?
そして、人気の無い死角へ手を引かれる。
「よ、よしっ…それでは…。」
っ………。
「「………。」」
「えっと………?…ハグ?」
「あれ?まっまさか…違う!?ご、ご…ごめんなさいっ!!」
顔を赤く染めた玲蘭が慌てている。
「本当ごめんなさ……ひゃ!」
「短い。まだだよ。」
「み、帝くん…。」