僕は二度、君に恋をする
1.カフェオレ、砂糖多めで


 一緒に弾きたいと思う気持ちと、恋愛対象として気になるという気持ちの境目って、一体どこなんだろう。

 セックスしたら好きになっちゃう、というセリフをどこかで聞いたけれど、一緒に弾いたら好きになっちゃう、というのはそれに近いことなのかもしれない。



 眞樹(マキ)の調子なら、彼女が出す音を聞けばいつも一瞬でわかった。

 今日は気持ち良さげに吹いている。おっと今日はよく音を間違うな、疲れているのかな。ぎこちない弾き方をしてる、曲の解釈が腑に落ちていないんだな———。

 学校の練習室で見かければ窓越しにあいさつをするし、時にはわざと邪魔をして練習室で語らう。

 防音の練習室はふたりの言葉も外界と遮断してくれるから、おしゃべりには好都合だ。



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