僕は二度、君に恋をする


「やだ。学校行きたくない。」


 マキはますますベッドに埋れ、ついに全身を乗せて布団をかぶってしまった。

 僕は布団を引き剥がそうと立ち上がる。


「マキ、とりあえず起きて話そう。寝てても何にもなんねぇよ。」


 僕は布団をめくった。

 途端、マキの蹴りが脛に飛んできて、完全に油断していた僕はバランスを崩す。

 マキの上に重なりそうになったのを、辛うじて手をついて避けたが、そうしたらマキの顔の上でキス寸止め状態になってしまった。


 予想外の近しい距離に戸惑って、僕は顔が赤くなるのを止められなかった。

 マキは、僕の激しくずり落ちたメガネをゆっくりと外した。


「メガネ、外すとイケメンだね。」


 正直助かった、と思った。

 裸眼になれば、至近距離でもマキの瞳が、顔が、そしてタンクトップから覗く白い肌が自ずとぼやける。

 それを視界にはっきり認識しておきながらスルーできる自信はなく、それと同時に彼女を飼い慣らす自信もなかった。


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