どこまでもパラレル
次に直矢に会ったのは大学の入学式だった。
あれだけ大勢いた新入生の中で、良く出会えたものだ。
直矢は私を見つけると、眩しいまでの笑顔で近付いてきた。
「良かった。君も受かっていたんだね」
私は、眩しくて瞳を閉じてしまいそうだった。
夏期講習で直矢と出会った私は、そのドキドキが何かわからないまま、高校を卒業する前に直矢ではない男によって女になっていた。
今、思うとどうでもいいような相手だった。
直矢の顔を見るまでは、そんなこともわからなかった。
私は激しく後悔した。
志望校にめでたく合格した二人は、同じ学部の同じ学科で教養課程を同じクラスで過ごした。
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