Chat Noir -バイオハザー度Max-




「ったく。お前なにやってんの?」


医務室で、絆創膏を私の指に貼りながら浩一は呆れたように吐息をつく。


マウスに噛まれたことぐらい平気だったのに、浩一に無理やり引っ張ってこられた。





浩一は―――いつも通り。




私は実験準備室で浩一の告白を聞いて以来


浩一をずっと避けてた。


返事をしなきゃ…って思うのに、親友の関係が壊れることを恐れてそれを言い出せない私。


溝口さんから逃げ回ってた涼子の気持ちがちょっと分かったり…


いや、涼子のケースとは違うか。


でも避けようとしなくても


四年生になって、私たちってとってる講義もあんまり被らないし、研究室も違うし案外―――




顔を合わせないんだな





と気付いた。


前は意味もなくばったり会ったのに、私はついこないだまでただの偶然としか思ってなかった。


でもそこにちゃんと意味があって―――


廊下でばったり会ったとき「おー」と声を掛け合って、すれ違おうとして


ふっと視線を感じて振り返ると浩一は私の方をじっと見つめていた。


私はその視線の意味すら知らなくて、


「何見てんのー」


って、バカみたいにふざけて笑顔を返してったっけ。


廊下ですれ違ったりすることがなくなって





浩一も私を避けているのだろう。





すべてのことに偶然なんてない


すべてのことがらはあるべくして在る―――


必然なんだ。





そんな風に改めて感じた。




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