EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】

「ん……」

フェオドールの唇が震えた。

「フェオさん!?」

「フェオ!?大丈夫!?」

「兄様!!」

小鳥、ルカ、オーレリアンが勢い良く声を掛ける。

ゆっくりと目を開けたフェオドールは、顔を覗き込んでくる三人をボンヤリと見上げた。

そして、一言。


「……誰だ?」


「は?何言ってんのさ、フェオドール。質の悪い冗談のつもり?悪趣味だね」

嘲るような発言をする白魔にフェオドールは困惑した表情を返す。

「すまない……本当に、君達が誰なのか…わからない」

こんな場面で冗談を言って、相手をからかうようなフェオドールではない。

誰もが一瞬、唖然とした。

「嘘だろ……マジでわかんないの?」

ルカの問い掛けに頷くフェオドール。

するとオーレリアンが真剣に説明を始めた。

「兄様、僕達は兄弟だよ。血の繋がった、家族なんだ」

「家族……?」

「はいはーい。俺。俺があんたの兄貴な」

「カロン、嘘を教えない」

デタラメを吹き込もうとするカロンの耳を静理がギュムッとつまむ。

そんなやり取りの横で小鳥は、ただただショックのあまりフェオドールの顔をジッと見据えることしかできなかった。


(これって、ひょっとして……記憶喪失!?)


彼女の心の声を肯定するかのように白魔が独り事を零す。

「やれやれ。面倒なことになったね」







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