EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「……ジェラルド」
「ん?どうした息子よ」
静理は不機嫌丸出しの低い声で、ジェラルドにだけ聞こえるように吐き捨てる。
「俺より先に言うな」
理不尽な殺気をビシバシ飛ばされ、ほんの三秒程キョトンとしていたジェラルドだったが。
「ほほう。これはこれは……もしや静理、君は大切な女性に対してなかなか素直になれないタイプかな?」
「は?」
目を丸くする静理を放置してジェラルドは小鳥に尋ねた。
「小鳥ちゃん、フィアンセになってから静理に甘えられたことは?」
「え……?」
「キスとかハグとか膝枕をねだられたことは?あるかい?」
「な、ない、ですっ」
「ふむ、静理は変なところでプライドが高いからね。恐らく甘えたくても素直に甘えられない年頃なのだろう。そんな彼に、小鳥ちゃん。これを飲ませてあげなさい」
先程の小ビンが回収され、別の小ビンが手渡される。
小鳥がラベルの文字を見ると、そこには「子供に戻ーる」と書かれていた。
「子供の姿の方が甘えやすいものだろう?」
茶目っ気たっぷりにウインクするジェラルド。
そんな彼に小鳥は驚いて聞き返す。
「えっ、これって、飲むと本当に子供に戻っちゃうんですか?」
「そうだよ。少しの時間だけなのだがね」
それは凄い。
魔法の店と言っていたのも頷ける。
ジェラルドの言葉を素直に信じる小鳥が感心していると。
「そんなもの必要ありません。小鳥ちゃん、もう行こう。これ以上相手をすると無駄に疲れてしまうよ」
静理の手が再び小鳥を引き寄せる。
小鳥は慌ててジェラルドに会釈をすると、静理に引っ張られて店を後にした。