EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】

先程までは彼を甘やかしてみたいと思っていたが、それは良く知っている大人の静理が相手の場合である。

それに子供静理はかなり心が荒れているようだ。

このままではまともに会話すらできない。


(初対面、になるんだよね?ならまずは、自己紹介から……?)


ちゃんと名乗って自分との関係を説明して警戒心を解いてもらおう。

そう決心し、緊張しながら静理に視線を戻した小鳥だったが。

「あ、あれ?」

目の前にいたはずの静理が消えていた。

キョロキョロと周囲を見回すと、広場から遠ざかって路地へとスタスタ歩き去る静理の後ろ姿が視界に入る。


(行っちゃう!)


慌てて追い掛け、その細い肩に触れようと手を伸ばした瞬間だった。

静理が立ち止まり振り返った。

「……ついてくるな、ネコミミ女」

「っ!?」

ネコミミ女呼ばわりに恥ずかしさが込み上げる。

小鳥は頭の猫耳カチューシャをサッと外すと、手でそれを弄りながら言葉を探した。

「えっと……静理さん。私、櫻井小鳥といいます。静理さんとは義理のーー」

「しつこい」

煩わしい言葉を遮り、くるりと背を向けて歩き出す静理。

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