EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】

「何が、いいよ、だ!いいよじゃないヴォルフ!!」

不穏な会話を聞きつけ、ダッシュでルカが割り込んでくる。

「俺は許さないからね。いくら可愛い可愛い愛理の頼みでも、ヴォルフだけはダメ!」

「むうー。おとうさん、キライ」

この一言にルカ、撃沈。

ムンクの「叫び」のようになる。

愛娘からの「嫌い」は精神的ダメージがとんでもない。

「あ、ヴォルフいらっしゃい」

寝室の方から、もう一人の我が子を抱っこして小鳥がやって来た。

そんな彼女の後ろを、ロボットのペギーがついてくる。

「お邪魔してるよー」

「うん。いつもありがとね。ヴォルフも忙しいのに」

「そんなことないよ。今日はヒマだから、ダイジョーブ」

ルカの仕事が休みの日、二人きりでデートがしたい!とのルカの我が儘を叶えるべく、小鳥は度々ヴォルフに子守を頼んでいた。

今日がその日である。

「ほら、ソラタこっちにちょーだい」

言われて、小鳥は抱っこしていた愛理の弟、空太(そらた)をヴォルフに渡した。

「小鳥、準備はいいの?」

小鳥を視界に入れて復活したルカが尋ねてくる。

小鳥は頷いてから、子供達の方に向き直った。

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