EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】

「クッソ……開かない……。カロンの奴、押さえてるな……」

ハァと吐息をこぼしてルカは諦めた。

「ごめん、小鳥。大丈夫?」

「は、はい……!だい、じょうぶ……です」

少しずつ目が慣れてきて、互いの顔が見えてくる。

二人とも、頬が朱に染まっていた。

「その、俺の、柩の中……臭くない?ちゃんと息できる?」

「臭くなんて、ないです……ルカくんの、匂い……安心します」

「あ、安心!?できる!?俺の、匂いで……?」

「はい……ルカくんの匂い、だから。ルカくんこそ……私と一緒だなんて、すみません……。迷惑、ですよね」

「は!?迷惑だなんてちっとも!むしろ大歓迎というか…………うん。大歓迎、です」

なぜか最後だけ照れまじりの敬語で、小鳥は思わずクスリと笑ってしまった。


(良かった……迷惑じゃなかったんだ)


ホッとしてから、目を閉じる。

ルカはそんな無防備な小鳥の体に腕を回そうかどうしようか本気で悩んだ。

そして結局、そっと手を握るだけに留める。

「おやすみ、小鳥」

優しく囁けば、小鳥が少しだけ擦り寄ってきた。

「……おやすみなさい、ルカくん」

小鳥の甘い香りがふわりとルカの鼻をくすぐる。

ズキュンと、ルカの胸に見えない矢が刺さった。

この後、悶えまくったルカがなかなか寝つけなかったのは言うまでもない。




< 23 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop