EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【カロン編】
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†††


 それからは全てが順調だった。

月日が経ち、小鳥の母親がフランスの地下世界で無事に子供を出産。

小鳥の弟が生まれ、両親達が赤ちゃんを連れて日本にやって来たそのタイミングでカロンと小鳥の結婚式が行われた。


「まさかカロンが一番最初に結婚するなんてね。お父さんはビックリだよ」

「あ、それは俺も思った。マジ奇跡」

結婚式が終わった翌日のジェラルドとカロンの会話がこれだ。

「なあ、親父」

「なんだい?」

書斎の椅子に腰掛けるジェラルドに対し、改まった口調でカロンは告げる。

「俺、人間居住区に家買うから」

「うん?小鳥ちゃんとの新居かい?」

「ああ。この屋敷ウザイから出てくわ」

「ああ、だろうね。あの子達がいたら新婚気分を楽しめないだろう。いいよ。好きにしなさい」

軽くOKしつつジェラルドはふと思い出した。

「そういえば、君とシャルロットが住んでいた家も残っているよ?そこを使ってもいいが…」

「嫌だ」

即答だった。

「あそこに良い思い出なんてねーからな。小鳥との新婚生活を汚されたくない」

「ふふ……そうかい」

ちょっぴり寂しそうにジェラルドは笑った。








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