彼に惚れてはいけません
飛行機の中でいろんな話をした。
吉野さんが初めて観た映画の話。
映画館に行ったのは中学の頃のデートが初めてで、緊張していて映画が終わった時にはひざの上にポップコーンがいっぱい落ちていたんだって。
それから映画館ではポップコーンを食べなくなったとか。
映画中に手を繋がれるのが苦手だと言っていて、それには激しく同意だった。
集中できないし、映画の世界に入れない。
「ねぇ、この後に凱旋門が出てくるよ」
飛行機の中で観ていた映画は、フランス行きということもあって、パリを題材にしたものが多かった。
「由衣、ほとんど観てるな、映画」
「これは大好きで」
ファッションデザイナーの話で、きらびやかなクリスマスのパリが舞台で、大好きな作品。
「由衣と映画観に行ったことないな」
「私と映画行くと、男の人みんな引いてしまうの。集中しすぎて全然話さないし話しかけられても答えられないの」
映画はデートではなく、映画鑑賞という行事なの。
「それはお前らしくていいんじゃない?俺なら気にせず観られるだろ」
「うん。吉野さんなら大丈夫」
「集中しすぎてよだれたらしてても、俺は引かないよ」
「よだれは、吉野さんでしょ~」
「そうだったな」
思い出すね。
カフェで居眠りしていた吉野さんはイケメンなのに、よだれ垂らしてたんだよね。
もし、結婚したら、そんな姿たくさん見られるのかな。
・・・・・・って何考えてんの、私。
結婚のこと、考えてしまった。
そんな先の話・・・・・・まだ早い早い。
とは言え、吉野さんと付き合ってから、何度も何度も考えてしまっている。
もし結婚したら、ってこと。
結婚したら、吉野さんとこんな生活したいな、とか、こんな食器使いたいなとか。
夜は映画観たりお酒飲みながら過ごすのかな~とか、朝は眠そうにあくびばっかりするんだろうな~とか。