彼に惚れてはいけません
「じゃあ、由衣の職場まで手を繋いで出勤しようか」
「ええ?」
「中村に見せつけたいし」
「本気で?」
過去に辛い経験をして、傷付いた心が、どこまで癒えたのかはわからない。
でもね、安心してね。
私は裏切らないから。
そんな言葉は信じてくれないと思うから、一生かけて証明してあげる。
おばあちゃんになった時、きっと証明できる。
ずっと、あなたのことを愛す自信があるから。
「ほら、手繋ぐぞ」
「え、そんなラブラブつなぎ?」
「当たり前だろ。中村はまだお前のこと好きなはずだから」
実はやきもち焼きだったりしてね。
「で、来月には結婚しよう」
「えっ!?」
こんな私達。
結婚して
どうなるのか、私にもわかんない。
でも、これだけはわかる。
毎日笑ってるんだろうなってこと。
楽しくて、楽チンで、バカなこと言い合って。
「このまま家に連れて帰りたいな」
「だめだよー」
「じゃあ今日は俺んち来いよ」
「今日?」
「今日も、明日もあさっても」
彼はなかなかの甘えん坊かもしれません。
こんなに素敵な彼が旦那様になって、心配が尽きないだろうな。
誰も、彼に惚れてはいけません。
私だけの、王子様だから。
END