彼に惚れてはいけません
2章

働く男

―働く男―

たった一度のキスを頭の中でリフレインしまくり、動画再生1万回くらい・・・・・・

吉野さんが言ってくれた言葉のひとつひとつを思い出しては喜んだり落ち込んだりして時間が過ぎる。

2度目のデート当日の朝、いつものカフェで吉野さんを想う。

現実的な人だ。
私と正反対の考えを持っていて、一緒にいて勉強にもなるし、ちょうどいいふたりになれるんじゃないか、とか都合のいいように考える。

フランス、行きたいよ。

誰でもない。
吉野さんと一緒にパリの街を歩きたい。

私がきゃっきゃっ言いながら買い物して、吉野さんが“これは日本で買った方が安いんじゃない?”とかクールに言ったりして。

でも、一緒にセーヌ川クルージングなんかしてくれたりして。

ふたりで夜景を見ながら船の上でキス・・・・・・

あぁ、素敵!

っと、こうしている間にも時間は過ぎて、出社時間になったので慌てて店を出る。

今日は、吉野さんのオフィスのあるあのビルに営業回りに行く予定だったので、少しウキウキしていた。

2時までの間、あの周辺の会社を回って、なんとかひとつでも決まればいいんだけど。

“相手の意見を一度飲みこんでみる”吉野さんが言ったその言葉は、私の仕事でも生かされる気がした。


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