ねがい
「菜々はさ、私の最初の願い事が何か知ってるよね?」


それは彩乃から直接聞いたから知ってるよ。


「視力が良くなるように、でしょ?彩乃が話してたからね」


「じゃあ、どうして視力を良くしたかったか分かる?」


……何か、嫌な予感がする。


この展開は、私が見た夢に似ているから。


不安が大きくなる。


ゴクリと唾を飲み、彩乃の問いに答えた。


「そ、それは。もしかして、私にメガネを外した方が可愛いって言われたから?」


私の言葉に、クスッと笑ってみせる。


「言ってたよね。確かに言ってたんだけど、菜々に言われたからって、メガネを外そうなんて思うわけないじゃない」


少しだけ笑った後、すぐに真顔になり、私に冷たい視線を向けた。


それが違うと言うなら、私には理由なんて分からないよ。


彩乃は詳しい話をしてくれなかったんだから。


「じゃあ、二回目の願い事は何だったか、分かる?」


それも彩乃から聞いた。


「頭が良くなりたいって言ってなかった?それ……じゃないの?」


「そう言ったかもね。でも本当は違う。二回目の願い事は……菜々よりも可愛くなりますように。だよ」


淡々と話した彩乃のその言葉に、私はどう返事をして良いか分からなかった。
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