青空の下月夜に舞う 2
長いようで短い時間は、あっという間に過ぎていって、私の目の前に、深緑の車が停車した。


「麻衣。久しぶりだな。乗りなさい」



久しぶりに会ったお父さん。
目を細めて、柔らかい笑みを浮かべている。


後ろのドアノブに手をかけて、中に体を入れる。

少し重たいドアを閉めると、ゆっくりと車は走り出した。


「ちゃんと食べてるか」



声に視線を上げる。
お父さんの黒い髪は、夕日に照らされてオレンジ色に染まっていた。


「うん……」

「この話は前にもしたよな。はは……髪伸びたな、麻衣」

「うん……」


家を出た一年半前は、まだボブだったから。
胸の辺りまで伸びた自分の髪を見つめた。

だけど、そろそろ切ろうかな、なんて考えまで行き着かない。
< 150 / 308 >

この作品をシェア

pagetop