俺のSPはくの一女子高校生

「……覚えてないって顔だな。まぁ、そりゃそうだ。なんてたって、俺は組の中でも下っ端だったからな。若頭さまが覚えてるわけないよな」


ボスが皮肉めいた笑みを浮かべると、特徴的に斜めに欠けた前歯が見えた。

ああ、こいつ……。

前歯がきっかけになったらしく、ボスの正体を思い出した。

こいつは半年前まで月神一家の一員だった人間だ。

だが、こいつはキャバクラの女に溺れ、組の金に手を出していた。それが俺の親父の耳に入り、組を追い出されたんだ。


「俺は組を追い出されてから、不幸の連続だ。貢いでた女は別の男のところにいきやがったし、生活はジリ貧になって借金まみれにもなって追い回される日々だ」


なるほど、闇金に手を出したのか。

バカだな。これ以上ないぐらいのバカだ。

裏社会にいたら、闇金の恐ろしさを知ってるはずなのに。
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