俺のSPはくの一女子高校生
ひとしきり笑うと、猿飛君は身体を疼かせる笑いを吐き出すように一つ息を吐いた。


「わかりました。家の者には私から言っておきます」

「じゃあ……」

「はい。風魔一族と本気で戦えば、無事では済みそうではありませんので。今回はあきらめます」

「ありがとう、猿飛君」

「いいえ。では」


猿飛君は背を向けると、どこかへ行ってしまう。

夕日が差し込まない、薄暗い廊下を歩いて教室へと戻れば、一人ウロウロと教室内を歩き回る生徒の姿がある。

見慣れた姿に思わず笑みが零れ落ちる。


「朔」


と、挙動不審な朔に声をかければ、ビクッと身体を振るわせて私を見る。


「先に帰っててもいいって言ったのに」

「いや……だってさ、楓が心配で」


シュンと不安気な表情で少し俯いて、モゴモゴした口調で言う。
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