すでに恋は始まっていた
泉と葉月が私の指さした方を見る。


だけど、さっき色は戻ってしまったから何も変化はないわけで…


「なにもないよ?ね?泉」


「うん」


(み…見間違い…?いや、そんなわけ…)


私が怪奇現象に頭を悩ませる中、疾斗だけが安心した顔をしているのを私は知らなかった。


気がつけば、体育館の入り口付近にかなり多くの人が集まってザワザワしている。


多分、泉が理事長の娘っていうことに驚いているんだろう。


「泉…終わったね」


「日菜もね」


(せっかく正体を隠していたのに…)

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