すでに恋は始まっていた
「おい!俺をこのツルから離せ!卑怯だ」


「あ?勝つためならばなんでもあり、なんだろ?」


嫌味っぽく笑ってみせる疾斗。


笑っているけどその中には怒りさえも感じられる。


「くそっ」


ツルから逃れられなくて、もがく霧谷。


「無駄だ。そのツルは俺の指示がないと解けない」


(疾斗が指示?疾斗がこのツルを操っているの?)


疾斗が私の横を通り抜けて霧谷の目の前へ行く。


「2度と日菜を襲わないと誓え。もし破った時は…」


疾斗の横の地面から木の枝のようなものが出てきた。


その枝の先は凄く尖っていて…霧谷の方に向けられる。


「破った時は命がないと思え。そして、この力のことを他言した時も同様だ」


その枝と疾斗の顔を見た霧谷はどんどん顔を青くする。


「する!し、しますから、どうか許してください」


その言葉でグラウンドから出ていたツルと枝が土の中へ戻っていく。


ツルから解放された霧谷は走って逃げていった。

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