すでに恋は始まっていた
私はいつかもこんな気持ちになったことがあったようの気がした。


(あれは…確か…)


必死で記憶を辿る。


そしてようやく思い出した。


(疾斗と夏休みに買い物した日だ!)


「日菜?どうしたの?」


私の足が止まっていたせいで心配してくれた樹君。


「あ、ごめんね。夏休みに疾斗と買い物した日のこと思い出してて」


笑顔で謝ったつもりなのに、樹君はむすっとしてしまった。


「日菜、今は俺といるんだから疾斗さんのことは忘れてよ。俺だけを見て?」


(言われてみたら…今は樹君とのデートなのに、何考えちゃってるんだろう)


「あ、うん。ごめんね。気をつける!」

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