すでに恋は始まっていた
「樹君、逃げようか」


「え?」


私は無言で見つけた人物を指差した。


「は、疾斗さん⁉︎」


状況を理解した樹君は私の手を取って走り出した。


だけど、ここは柵に囲まれていて出入り口は1つだけ。


そしてその近くに疾斗がいるの。


私達は出入り口まで行くと、植木に隠れてそっと出て行くことにした。


植木の陰からそっと疾斗の方を覗く。


「うそ!」


思わず声をあげてしまった。


なんと、そこには光・圭介・凛愛までいたの!


(さっきまでいなかったのに…みんなを探していたから疾斗はキョロキョロしてたのかな?)


「日菜、知らない人の振りをしてこっそり行こう」


私はコクっと頷き、樹君の後ろをついていく。


だけど、どうしてもみんなの近くを通らなくちゃ行けなくて…その時にみんなの会話が少しだけ聞こえた。

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