すでに恋は始まっていた
「…は⁉︎お前もう1人のレトワール1位と面識あるのかよ!」


(この勝負、私の勝ちだね…)


「さあ?…もういいでしょ。日菜行こ!」


泉は私の手を掴んで歩き出した。


「待てよ」


そう言って疾斗は私のもう片方の腕を掴んでくる。


両方から引っ張られて腕が痛い。


(なんで私がこうなっちゃうの…)


「日菜、お前も知ってるのか?レトワール1位が誰なのか」


「……し…知らない」


それだけ言うと私は泉を連れて走り出した。


私は心を読むことができる。


だけど、誰かが私の心を読むことはできない。


だからこんな感覚は初めて。


心が……見透かされてる気分になるなんて…。

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