すでに恋は始まっていた
主犯の子が腕を振り上げた。


《叩かれちゃう!》


葉月は多分避けられないだろう。


目をつぶって叩かれる身構えをした。


(しょうがない)


パシ…


私は葉月に手が当たる直前で止めた。


「な!」


まさかここで私が止めるとは思っていなかったのか、かなり驚いた顔。


それだけじゃないね。


いつもいじめてる相手から邪魔をされたんだもん…こんな大勢の前で。


恥ずかしさで主犯の子の顔が赤くなっていく。


「私達の友達に何かしたら許さない」


私はこれまでに見せたことのないくらい怖い顔で睨んだ。


「……」


よほど怖かったのか、目を涙目にして逃げていった。

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