すでに恋は始まっていた
私と疾斗・いじめっ子の間に熱風が吹いた。


「お前ら、これでもう日菜に関わるんじゃねえぞ」


(低い…相手を威圧する声…)


私には後ろ姿しか見えないけど、疾斗から殺気が放たれているのがわかる。


疾斗に睨まれた女子は一目散に走っていった。


残された私達。


(ま…まずい…2人っきりになっちゃった)


「あ…あの、ありがとう」


喧嘩してるとはいえ、助けてもらって無視するわけにはいかない。


「別に。関わって悪かったな」


疾斗はそれだけ言うと、すぐに立ち去ってしまった。


「私…あんなこと言ったのに…なんで…」


(なんだろう。この気持ち。心があったかくなって、穴が少し埋まった気がする…)


私はしばらくの間、この気持ちに浸っていたくて屋上に向かった。

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