強引上司の恋の手ほどき
「こんなんじゃ、埒が明かないな……」

「んっ……」

彼の赤い舌が見えた。次の瞬間には私の唇をぺろりとなめた。

「な、なにやってるんですか?」

さすがに驚いた私は、彼と距離をとろうと厚い胸を押し返した。

「なにって……綺麗にしてやってるんだろうが。感謝しろ。ほら、ここも汚れてる」

次は頬をなめられた……そしてその次は耳を甘く噛まれる。

「ち、ちょと、絶対そんなところにチョコついてませんよね?」

「あ? どうだろうなぁ。他のところにもついてないか確認しないとな」

「きゃ」

次の瞬間私の視界に移ったのは、天井と彼のいじわるに笑う顔だった。少し強引にソファに横にさせられた私は驚いて目を見開く。

しかしそんなことはお構いなしに彼はそのまま私のブラウスのボタンを外そうとしていた。

「ちょっと、待ってください!」

慌てて止に入ったけれど「なに?」と言いながらも、器用に私のブラウスのボタンを外すのをやめない。

「バレンタインからずっと待ってるんだ。……そろそろ限界」

私の顔を包み込むと、拒むことなど許さないと言われているような激しいキスが、私を襲った。

息継ぎするのも難しい、激しいキスに私の体が溶けていく。

——今日も強引な彼との甘い時間に私は浸っていくのだった。

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