強引上司の恋の手ほどき
私は、言われるままに彼の指先を舌を出してなめた。

しかしぐいっと差し出された指が口の中に入り込んだ、その勢いで思わず目を閉じてしまう。

甘いチョコの味が口の中に広がったのは一瞬で、そのあとは、差し込まれた郡司さんの指の感覚だけが残る。

私の口内をもて弄ぶような動きに、戸惑いながらもそれに答えた。

ただの指なのに、なんでこんなに恥しいの!?

自分のこの羞恥心がどこからきているのかわからずに、うっすらと閉じていた目を開く。

すると、いつもの郡司さんとは違う熱い瞳が私を捉えていた。そらすこともできずに、私もまっすぐにに彼を見つめた。

ゆっくりと彼がまぶたを閉じてぐっと唇を噛み、私の口から彼の指が引きぬかれた。

すると、反対の手が伸びてきて私の後頭部に回された。ぐいっと引き寄せられ、上を向かされた。

さっきよりももっと至近距離で目が合う。

「ここについてる」

彼の指先が私の唇に触れ拭うような動きをした。確かに彼の指にチョコレートが付いている。

それを今度は、彼が自分でなめた。

特別な行為じゃないはずなのに、胸がドキドキと音を立てる。
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