強引上司の恋の手ほどき
私はすぐに課長のデスクへと向かい、指示を仰ぐ。すると机のメモを指差して私にお願いのポーズをする。

おそらくこのメモに書いてある資料を探してほしいと言うことだろう。

課長の意図することがわかって、私はそのメモを受け取るとすぐに自分の席へ戻り、さっそく資料を探し始めた。

「過年度の部門別の財務諸表と……ん? また大阪の資料か」

電源を入れたパソコンにパスワードを入力して立ち上げる。

色々あって冷めてしまったコーヒーを一口飲んで、データ探しに本腰を入れた。

パネルで仕切られた経理課のデスクには、まだ私と課長だけだ。

私のパソコンのキーを操作する音と、課長の電話での話し声だけが響いていた。

昨日のお礼を言わないと……そう思うが、最後に言われた“お礼は仕事で”と言う言葉を思いだした。

お礼はまた後で言おう。とにかく今は目の前の仕事をやってしまうことが優先だ。

私は少しでも課長の役にたちたくて、言われたメモの資料を探していると電話を終えた課長から声がかかる。
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