友達になるということ




『じゃあ、ここにしよっか!』


『うん!絶対一緒に合格しようね!』


そんなふうに笑い合いながら、2人は楽しそうに帰っていった。


いいなぁ、羨ましいなぁ、と純粋に思った。


あんなふうに、高校まで一緒に行こうと言える友達がいることに。あんなふうに、一緒にいる為に頑張りたいと思える相手がいることに。


あたしは、彩芽と蘭と離れたくて仕方がないというのに。


高校では、あたしにもちゃんと、心から信じられる“友達”ができるといいなぁ。


そんなことを思いながら学校を出ると、グラウンドの端のほうでサッカー部の練習をずっと見ている一人の男子生徒に会った。


『……?』


今日説明会に来ていた中学生だということは制服から見ればわかるけど、もしかして入学したらサッカー部に入るつもりなのかな。


見学したいのなわかるけど、早く帰った方がいいんじゃないかな、一応まだ部外者なわけだし……。



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