動き出した、君の夏
「悪ィな裕樹っ」

教室への帰り道
廊下で夕が両手を合わせた

「別にいーって。卓人言い過ぎだったし」
「つーか、何で言い返さねぇんだよ!?」
『そうだよ!!何で笑ってんの!?』

裕樹の言葉を遮って2人で怒鳴った

「ん?さっきか?」
『そうだよ!!』
「悔しくねぇのかよ!!!!」

夕は笑いながら、んー…と上を向いて少し黙った
そして、あたし達に笑顔で向けた

「チームのため。だし」
「あ?」
『チーム…?』

「ホラ。裕樹も言ってたけど野球ってチームプレーだろ。あそこでレギュラー同士の裕樹と卓人が仲悪くなったら、試合だってガタガタになんだろ?」
『でも…夕は?』

「ん…俺は試合出られねぇし。チームが勝つんなら、耐える^^」

「…」
『…』

瑞希もあたしも、黙り込んだ




それで、夕はいいの?
どんだけ野球バカなんだよ
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