動き出した、君の夏
すっと、シャーペンを握る右手に夕の手が乗った
うわぁ…男の子の手だ
細くて長くて綺麗なんだけど、ゴツゴツしてるんだ…

「俺、すっげ寂しい」

初めて触れた男の子の手にドキドキしてると、耳元で夕の声がした

『…嘘っぽい』
「何言ってんだよー。俺ずっと千夏んチ居てぇのなー」
『そ、そうっすか…』
「てか、泊まりてぇ…」
『それは無理』

何かされそうだもん
そんな切なそうな声で言ってもダメですよ!!
ホントに切ない声で言うから困るんだけど…

「でも――」
『へっ…』

くいっ

少し、首を後ろに回された
振り向くと、笑顔で夕が言った

「甲子園行けたんだし、練習しなきゃなっ」
『…』

自然と、笑顔になった

『…じゃあ、頑張って』
「おう^^」
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