動き出した、君の夏

励まし

『嘘…やだやだやだ…』

机に突っ伏して半泣きになっていると
あたしの前の席で、お茶を飲んでる瑞希に
「怖い」と言われた

『だって…だーって…』
「いつもの千夏じゃないよ!!」
『そりゃそーだよ…地区予選今月だよ!?あー…高跳びで県は諦めるわ…』
「マジで落ち込んでる…」

どうしよう…
高跳びで県行きたかったなぁ…
スランプってマジとことん記録出ないし…

『ぅあ~~~~…』

「…三村、どした?」
『ひゃあっ!!』

あんまりビックリしたから、肩を強張らせて教室で叫んでしまった
後ろを見ると、小さいパックのオレンジジュースをすすってる夕が立っていた

『…夕…ビックリしたぁ…』
「何か、三村っぽくねぇな?何かあったか?」

あたしの隣の席に座りながら言った

『ん……スランプ…高跳びで…』
「あー、スランプな。辛いよなー」
『うん…全然記録出ない…』
「…ま、頑張るだけだよな」
『分かってるけど…』

やってもやっても全然できないし…
それでテンション下がって練習できなくなっちゃう…

「ぶっちゃけ、俺も、今スランプなんだわ^^;」
『え?』

顔を上げると、右手で頬を少し掻きながら苦笑いをしていた


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