動き出した、君の夏

春の旋風 村松 夕

カキンッ

ボールがバットに当たる音がした
それと同時に、会場が沸いた

ボールはびゅんびゅん速度を増して、球場の遥か彼方に落ちていった

『きゃあっ!!打った!!瑞希!!打った!!!!』
「すっげぇ!!村松ッ!走れーーっ!!!!」

入学式の終わった4月
この球場には、春の高校野球児の活躍を見ようとたくさんの人が詰めかけてる

遠くに見える、薄汚れたユニフォーム姿の夕が、一塁、二塁とベースを蹴った
そして、速度をゆっくりと落としてホームイン

右手でガッツポーズを作った夕の顔は、そりゃもう最高の笑顔で…

掲示板に表示されてる回ごとの得点の1番右
トータル点の、ウチの学校の点数が4つ上がった(つまりは満塁ホームラン!!)






『すっっごーーーーいっ!!!!逆転したよ!!』
「まだ4回だけど…期待できんじゃん!?」
< 95 / 273 >

この作品をシェア

pagetop